本記事では、日本国内の注目非上場スタートアップ5社(ispace、ABEJA、Soramitsu、Synspective、LayerX)を取り上げ、それぞれのテクニカル分析、業績分析、市場分析の視点から、なぜ今後さらに成長が期待できるのかを解説します。
ispace
テクニカル分析
- ispaceは、小型月着陸機「HAKUTO-R」シリーズを中核とした民間月面探査企業で、再利用可能なマイクロロボット技術により低コスト・高頻度の月輸送サービスを提供しています ispace。
- NASAの商業月面ペイロードサービス(CLPS)や日本政府のSBIRプログラムと連携し、月面ミッションを継続的に実行する技術基盤を確立しています ispace。
業績分析
- 2025年3月期の連結売上高は47.4億円と前年同期から大幅に増加しました ispace。
- 営業損失は115億円、純損失は83億円でしたが、SBIR助成金など非営業収益により純損失改善が見込まれています ispace。
市場分析
- 世界の宇宙探査市場は2022年の4860億ドルから2032年に1兆8790億ドルへと成長し、年率16.21%のCAGRで拡大すると予測されています GlobeNewswire。
ABEJA
テクニカル分析
- ABEJAは、ノーコードでAIモデルをブラウザ上で作成・運用できる「ABEJA Platform」を提供し、小売・製造業を中心に業務プロセス自動化を支援しています ABEJA, Inc.。
- コンサルティングサービスを併用し、顧客企業の課題に合わせたAIソリューションを迅速に立ち上げる体制を構築しており、継続的なモデル改善にも強みがあります FreightWaves。
業績分析
- 2025年第1四半期の売上高は7.68億円(前年同期比18%増)、純利益は8500万円(同81%増)を記録しました Simply Wall St。
- EPSは9.15円と前年同期の5.43円から上昇し、収益性の向上が顕著です Simply Wall St。
市場分析
- 日本のデジタルトランスフォーメーション市場規模は2025年に777億ドルと予測され、2025〜2030年で年率24.93%のCAGRで成長すると見込まれています モルドールインテリジェンス。
- また、国内のジェネレーティブAI市場は2024年には2億5796万ドルで、2033年まで年率38.8%で急拡大する見通しです GlobeNewswire。
Soramitsu
テクニカル分析
- SoramitsuはオープンソースのHyperledger Irohaブロックチェーンフレームワークを主導し、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や分散型ID管理ソリューションを提供しています soramitsu.co.jp。
- カンボジアのBakong CBDCやパプアニューギニア中央銀行とのPoCなど、多国間の政府プロジェクト実績が豊富です FinTech Futures。
業績分析
- 2025年5月時点の年間売上高は1500万ドル、従業員数は約117名と安定的な事業規模を維持しています LeadIQ。
- プレIPO資金調達ラウンドで数十億円規模の増資に成功し、ライセンス収益基盤の拡大が進んでいます CB Insights。
市場分析
- CBDCおよびステーブルコイン市場は、2031年までに取引価値が612%拡大すると予測されており、中央銀行向けDLTソリューション需要が急速に高まっています juniperresearch.com。
Synspective
テクニカル分析
- Synspectiveは合成開口レーダー(SAR)搭載の小型衛星コンステレーションを構築し、全天候・昼夜を問わず地表データを高頻度で提供するプラットフォームを運営しています Synspective。
- 自社衛星によるオンデマンド観測と、AI解析によるインサイト抽出で、スマートシティや防災・インフラ管理への応用が進行中です Synspective。
業績分析
- 2024年12月期のTTM売上高は1530万ドルで、2025年第1四半期には政府補助金による特別利益計上もありました PitchBook。
市場分析
- 合成開口レーダー市場は2024年の48.7億ドルから2025年には55.3億ドルへと、年率13.7%のCAGRで拡大すると予測されています openPR.com。
LayerX
テクニカル分析
- LayerXは、エージェントレスで動作するブラウザセキュリティプラットフォームを提供し、Webデータ漏洩やGenAIリスク、拡張機能の脅威を包括的に防御します LayerX。
- ゼロトラストアーキテクチャに基づき、企業の標的型攻撃やシャドーSaaS対策にも対応できるエンタープライズブラウザソリューションです LayerX。
業績分析
- 2025年4月のシリーズA拡張ラウンドを含む3回の資金調達で累計4500万ドルを調達し、最新ではJump Capital主導で1100万ドルを追加調達しています TracxnYahoo!ファイナンス。
- 年間売上高は約1000万ドルのレンジにあり、早期収益化を実現しています LeadIQ。
市場分析
- グローバルなSecure Enterprise Browser Software市場は2024年に4.29億ドルで、2031年には6.61億ドルに成長し、年率6.9%のCAGRで拡大すると予測されています Valuates Reports。
まとめ
これら5社はそれぞれ独自技術と堅実な資金基盤を有し、成長著しい市場環境において先行優位を築いています。宇宙探査、AIプラットフォーム、CBDC、SARデータ、エンタープライズブラウザといった分野で、今後も技術実証・導入事例とファイナンシャルパフォーマンスを注視する価値が高いでしょう。
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